ランドセルの購入はこちら

Menu

小1からの塾&通信教育の取り組み方をプロ家庭教師・西村先生がアドバイス

西村則康先生

小学校入学前の親御さんにおくるアドバイス第二弾は、塾や通信教育の選び方と活用法、子どもが塾に行きたいと言ったときの対処法などについてとりあげます。小学校入学前にどの程度準備しておいたほうがいいのか? 第一弾につづき、プロ家庭教師の西村則康先生(名門指導会)にお話をうかがいました。

西村則康先生の著書&プロフィール

第1回:塾、通信教育など学校外学習に関する基本的な考え方

●10分の我慢ができるか市販の問題集でチェック

ランドセルナビ:小学校に入学したら通信教育を受けさせたり、塾に入れたりしたほうがいいのではないかと思っているお母さんも多いと思います。周囲の情報に惑わされず、上手に学校外学習を選ぶにはどうしたらいいでしょうか。

西村則康先生(以下、敬称略):小学校入学前から塾に行かせようか、通信教育をやらせようかなどと考える前に、確認しておかなければならないことがあります。通信教育の場合なら、算数と国語、それぞれ10分くらい、机の前に座って何か作業ができる状態が作れているかどうか、それをチェックしたほうがいいでしょう。

1年生で、学校準拠のドリルを1日に1、2枚程度、時間にしてそれぞれ10分ぐらいやるという習慣を身につけていないと、通信教育は無理です。実は10分間の我慢ができない子は、意外に多いのです。そういう子に通信教育をさせても親のストレスが高まるだけです。

ランドセルナビ:なるほど。使うドリルや問題集は、本屋さんで買えるもので大丈夫ですか?

西村:市販されている学校準拠問題集で十分です。というより、市販されている準拠問題集やドリルのほうが効果的な場合も多いのです。

実は通信教育の場合、例題とそのあとにある練習問題の落差が大きすぎるものが多いのです。例題で理解できた気になっても練習問題にはいって手こずり、添削問題にすすめないという子が多い。そうなると親もストレスを抱えてしまいます。

ランドセルナビ:わざわざ通信教育をやらせる前に、市販の問題集を使うという選択肢もあるわけですね。この方法は、小学校入学前からやったほうがいいのですか?

西村:入学してからのほうがいいでしょう。入学以前にするのは、幼児向けのなぞり書きなどで十分。それを5分間、楽しみながら机の前に向かってやるといいと思います。

●1年生の偏差値や点数では何もわからない

ランドセルナビ:塾はどうですか? 中学受験を考えていたりすると「行かせなくちゃ」と考えてしまう親御さんも多いと思うのですが。

西村:小学校1年生の段階で、塾の使い方というのはなかなか難しいですね。この時期は、正解を出すことより、正解に至るまでに何をどのように考えて、どんな作業をしたかというプロセスが大事なんですね。それを塾の先生がみてくれればいいのですが、そういうところは少ない。となると、親がみられるのは順位と偏差値だけになるので、そこにこだわってしまう傾向があるのです。

ランドセルナビ:確かにプロセスは評価がしにくいですね。

西村:何が困るかというと、この段階で偏差値や点数にこだわっていると、わが子の能力を見間違う可能性があるんですね。小学校1年生の段階で、偏差値を出して何かわかるかといえば、ほとんど何もわかりません。答案に反映されるもの以外の能力のほうが、この時期はずっと重要なのです。

ランドセルナビ:点数や偏差値で、わが子の能力を見てしまう傾向が高いのは心配ですね。

西村:はい。心配です。この時期の点数が悪くても将来ぐんぐん成績がのびる子、いわゆる「後のび」する子がいるのですが、そういう子のことを、「うちの子、できない」と思ってしまう親御さんが多いのです。

点数が悪くても後のびする子は、ひとつの問題にのめり込むのです。一生懸命になって、次の問題にいきつけない。でも、ひとつの問題にのめり込めるというのは、決して悪いことではありません。そういう子は、将来的にのびるんです。

ランドセルナビ:どうすればいいのでしょう。通信教育の代替案として市販の問題集やドリルがとても役に立つとうかがいましたが、塾の代替としても利用できますか?

西村:十分に使えると思います。ただ、教えるという姿勢ではなく、親子で一緒に問題を楽しもうね、という姿勢で家庭学習をやってほしいと思います。

ランドセルナビ:塾に行かせるべきかどうか考えて、それが可能な場合でも、この時期は親子一緒に問題を楽しみながら解いたほうがいい、ということでしょうか。

西村:はい。国語と算数、それぞれ10分ずつでいいんです。合計20分だから、仕事のある方でもなんとかなるのではないでしょうか。

●小学校3年生までは塾に通わせる必要はない

ランドセルナビ:スタッフの知り合いにも小学校1年生から塾に通わせている人がいるのですが、やはり、これでよかったかどうか判断がつかないそうです。しかしお子さんは名門中学に行くと言い出しているそうです。

西村:1年生から塾に通わせるとなると、なかなか大変なだと思います。低学年が通う塾にも能力開発系と受験先取り系があります。受験先取り系の塾だとすると、本質を理解せずに正解を出すための手順だけを覚えるようになる傾向があるのです。暗記力があれば、点数はとれるのですが、暗記頼りの受験勉強をしていくと、4年生以降、のびなくなってしまいます。

ランドセルナビ:能力開発系にはどんな塾があるのでしょうか。たとえばサピックスなんかはどうなのでしょう。

西村:サピックスは教材が能力開発系なので悪くはないです。ただ、テストの偏差値が毎月でてしまい、成績でクラス分けをし、座席まで決められることもあります。そうすると、子どもも親も、点数ばかりにこだわるようになる。これがよくありません。

もし能力開発系に行かせるのであれば、順位や点数は気にしないと決めて、子どもが楽しんでいるなら行かせる。それくらいのスタンスでいられるのであれば問題はないと思います。 でも、基本的なことですが、小学校3年生までは、塾に行かせる必要はまったくありません。

ランドセルナビ:その時期は、学校準拠の問題集を親子いっしょに解いて、勉強する楽しさを味わわせたほうがいいということですね。

西村:そうです。そして、学校準拠の問題集をサラサラ解いてしまい、「お、うちの子、頭がいいな」と思ったときは、それ専用の問題集などもいっぱい出ていますから、使うといいでしょう。

ランドセルナビ:子どもが楽しんで問題集を解いているなら、次から次へと買ってやらせればいいということですね。おすすめの問題集はありますか?

西村:たとえば『天才脳ドリル』『最上級問題集』『スーパーエリート問題集』などです。『論理エンジン』もいいですね。ただ、論理エンジンに入る前の1冊があり、これがとてもいい。『はじめての論理国語』というタイトルです。

2021/09/10


第2回:子どもが塾に行きたいと言ってきたとき親の対処法

●塾を子守代わりに使わないようにしましょう

ランドセルナビ:1年生から塾や通信教育をするのに向いている子や親、反対に向いていない子や親は、どんなタイプなのでしょうか。

西村:5分、10分の我慢ができない子や、親のほうが一喜一憂しすぎるタイプは向いていないといえるでしょうね。その反対の人は、向いていると言っていい。

それから、塾を子守がわりに使わないということも大切です。塾に行かせておけば親の自由時間が確保できる。そういう考え方の親御さんが意外に多いのです。それはあまり良い結果にはつながらないと思います。

ランドセルナビ:親の時間確保のために塾を使うくらいなら、子どもと一緒に過ごしたほうがいいということでしょうか。

西村:親が子どもにかかわれる時期というのは、せいぜい小学校1年生から6年生の間くらいです。中学生になれば、子どもとのかかわりは激減します。子どもと積極的にかかわれるのは、誕生からほぼ10年間ぐらいしかありません。二度とない、とても貴重な時間なのですから、ぜひ子どもと一緒に過ごすために使ってほしいと思います。

ランドセルナビ:親が自分の自由時間を増やすために塾に行かせるよりも、子どもと積極的にかかわる。そのほうが、子どもの成績はよくなると言ってもいいんでしょうか。

西村:そう断言してもいいと思います。

●子どもの学習習慣づくりに親の助けは不可欠です

ランドセルナビ:子どものほうから塾に行きたいと言ってきたとき、親はどうすべきでしょうか。

西村:進学塾にしろ能力開発系の塾にしろ、塾に行かせるのであれば、親がちゃんと考えておかないといけないポイントがあります。どういうことかというと、子どもが学習習慣を身につけられるかどうか、ということです。

勉強の量や質だけではなく、毎日、どの時間帯を使って学習をするのか。勉強の習慣が身につけられるかどうか。これを子どもまかせにしていると、なかなか身につかないんですね。ついつい気分で勉強する、しないを決めるようになってしまいます。 とりあえず塾に行かせてみようか、というスタンスだと、よくない習慣が身につく可能性があるのです。

ランドセルナビ:生活の中でメリハリのある学習習慣を身につけられるよう、親がちゃんとみてあげる必要があるわけですね。

西村:はい。それがいちばん重要です。

●宿題の意味を子どもに教えてあげよう

ランドセルナビ:具体的に、どのように親がサポートすればいいでしょうか。

西村:小学校低学年ならば、最初は学校の宿題を使うといいでしょう。特に小学校3年生までは、学校の宿題は完璧にやってほしいと思います。それも課題をこなすだけではなく、なぜその宿題が出ているのかを親が理解して、子どもに教えてあげてほしい。

たとえば漢字を10回書きなさいという宿題があったとしましょう。男の子がよくやるのですが、最初にへんだけを10個書く。次につくりを10個書く。そうやって、いかに早く書くかを考えることが多いのです。こうなってしまうと困ります。

ランドセルナビ:宿題の意味を教えてあげないといけないわけですね。

西村:はい。音読の宿題も同じです。音読の宿題というのは、お母さんの前で読み、正確に読めているかどうか、お母さんのサインやはんこをもらってきなさいというのが多いのですが、これをサボる子がどんどん増えてきます。なぜかというと、お母さんのほうでも、1、2か月やると飽きてしまうんですね。すると、子どもがお母さんのサインをマネして書いてしまったりする。あるいはお母さんが子どもに三文判を渡して自分で押させていることもあるのです。

ランドセルナビ:音読は言葉の能力や考える力を養うにはとてもいい学習方法だと思うのですが、親も音読を大切に思っていないということですか?

西村:音読の意味や価値がわかっていないのでしょう。ところが、受験勉強が本格的に始まると、ネットの情報や本に「音読が大切」などと書いてあるのを見て、急に「音読しなさい」と言う親が多くなる。

そうならないためにも、小学校の音読の宿題は、きちんと意味を子どもに教えてチェックする必要があるのです。これを親子で楽しみながらできるようにするといいですね。

2021/09/17


第3回:勉強と習い事のバランスのとりかた

●習い事は子どもの負担にならなければOK

ランドセルナビ:ピアノやスポーツなど、すでに通っているお稽古事と学校や塾などの勉強のバランスをとるのに悩んでいる親御さんも多いようなのですが。

西村:どちらを優先したらいいかと悩むほどつめつめにすることが、よくないですね。お稽古事や塾は、優先順位を考えなくてもすむ、余裕のある選び方をしてほしいと思います。

ランドセルナビ:優先順位をつけなければならない状態がまずいわけですか。

西村:小学校3年生までだったら、学校の宿題ちゃんとできる、習い事もちゃんとできる、遊ぶ時間もちゃんとある。そのうえで余裕があったら塾や通信教育など、何か別のことをする、といった考え方で選んだらいいと思います。

家の方針として、ピアノのプロにするとか、プロスポーツ選手にしたいといったケースもあるので、一概には言えませんが、そうでない場合は、いろいろなことをやりながらも、まだ余裕がある状態にしておくのが大切だと思います。

ランドセルナビ:どのような状態であれば、余裕があると判断していいのでしょうか。

西村:この余裕には個人差がありますから、一般論としてこうだということはできません。つめつめにみえても、子どもが楽しげに通っている場合もあれば、つめつめでないのに子どもが負担を感じていることもあります。ただ、子どもが楽しげに通っている、そこに通うのを楽しみにしている状態なら、少しぐらい多くても負担にはならないと判断していいと思います。

ランドセルナビ:一度決めたことなんだから続けなければならないという、昔からの考え方はどうなのでしょう。よくないですか?

西村:ひとつの習い事ならばいいのですが、すべてのものをそうするのは無理があります。どんなお稽古事、習い事でも、たとえ子どもが望んだことでも、子どもが嫌がるようになったらやめていいというのを原則にしておくといいと思います。

●習い事は勉強にも良い影響

ランドセルナビ:子どもがピアノやバレエなど、いろいろな習い事をやりたがるため、教育費が跳ね上がって困るという話を聞いたことがあります。子どもにとってもお財布にとっても安心な塾や通信教育の選び方はあるのでしょうか。

西村:経済的な問題は難しいですね。ただ、可能であれば、習い事だろうがお稽古事だろうが、基本は、やらせてみればいいと考えています。

というのも、今は外遊びがしにくくなりましたよね。昔だったら外で遊ぶだけで勉強になったのですが、それはできない。習い事やお稽古事などが、そのかわりになっているんじゃないかと感じています。

ランドセルナビ:1年生の段階では、塾より習い事のほうが大事かもしれませんね。

西村:それはあるかもしれません。私たちがみている子でも、ピアノを本格的にやっている子は、だいたい勉強ができます。脳の発達にいいのではないかと想像しています。また、習字をやっている子は、読みやすい字を書いてくれます。スポーツの場合でも、いいコーチのいるチームに入った子は、人の話を素直に聞くことができます。

ランドセルナビ:習い事が勉学のほうにも効果があると感じていらっしゃるわけですね。

西村:はい。どういう先生やコーチがいるのかも大切なポイントですが、習い事は勉強にもよい影響を与えていると感じています。

ランドセルナビ:では、受験をするのだからサッカーは辞めて塾に行きなさいと親が言うのはよくないわけですね。

西村:小学校3年生までは、それをやるべきではないですね。それよりは、習い事をしつつ、家庭学習の習慣をつけたほうがいい。小学校1、2年生が家でする勉強は、長くても1日せいぜい30分以内でしょう。ご両親も一緒に勉強してあげてほしいですね。

2021/09/24


第4回:子どもの発達段階に応じた学習方法

●子どもを信じ切る努力をしてください

ランドセルナビ:中学受験を考えている場合、進学塾も考慮しておかなければなりませんよね。そのときになって慌てないようにするにはどうしたらいいでしょう。

西村:親として、まずわが子を信じ切れるかどうか、ですね。小学校に入るようになったら、子ども信じ切る覚悟を決めなくちゃいけません。

特に難関校への合格を目指していると、周囲は教育熱心な家ばかり、たくさん勉強した子ばかりになります。スランプもあるでしょう。そんなとき、わが子だったら必ず頑張ってくれる、という信頼感が持てるかどうか、自分自身に問いかけてみてください。 うちの子は大丈夫だろうかという不安感から、子どもにさまざまな要求を続けてしまうと子どもはのびなくなるのです。 どういうことがあってもはげましつづけてあげようという気持ち、わが子の能力を信じ続けてあげようという気持ちが夫婦の共通の意志としてあればいい。信じ切ろうと努力することが必要です。

ランドセルナビ:「私の子なのになんで成績が悪いの」とか「オレはこんないい学校を出ているのにお前はなんだ」という姿勢がダメだということですね。

西村:そうです。親の、人間としての器の大きさや力量が試されていると言ってもいいでしょう。

●教えるときに叱ることはマイナスしかない

ランドセルナビ:子どもへの接し方、塾選びなどで「こういうことはしないほうがいい」ということはありますか?

西村:小学校低学年であれば、先取り学習(つるかめ算などの特殊算)をやっている塾に行かせるのは、よくないでしょうね。また、市販されている最高レベル問題集をいきなりどんどんやらせていく親御さんもいますが、これも好ましいことではありません。

ランドセルナビ:なぜ先取り学習はよくないのでしょうか。

西村:説明が理解できるレベルを超えてしまうと、子どもは混乱するし精神的にもよくないのです。親は安心できるのかもしれませんが、子どもが困ってしまう。先取りにはメリットもありますが、デメリットもあり、その見極めが難しいのです。

ランドセルナビ:その判断は、普通の大人には難しいですか?

西村:まず無理だと思います。だからこそ、「子どもと一緒に考える」というやり方が重要なんです。教えようとしないで、一緒に悩んでみようという姿勢。これが必要なのです。

ランドセルナビ:説明しても子どもがわかっていないように見えたときは、どうしたらいいのでしょうか。

西村:子どもを叱ってはいけません。親の説明のしかたが悪いと考えるべきです。これは私どもプロの世界でも同じですが、教えるときに「叱る」ことはマイナスしかありません。親御さんも、励ますか、ほめるかだけをすると肝に銘じてほしいと思います。

●まずは子どもと一緒に悩み、考える

ランドセルナビ:説明のしかたを子どもに合わせるにはどうしたらいいんでしょう。

西村:教えることの素人である親御さんには難しいので、教えようとはせずに一緒に考えてみる、一緒に悩んでみるといいでしょう。

これは特にお父さんにお願いしたいのですが、わが子がいったいどこでつまずいているのか、それを調べてみてください。それがお父さんの役割だと心得てほしい。そうすれば、「まだ理解できる時期じゃないんだ」ということがわかってくると思います。

ランドセルナビ:どんなところをみたらいいのですか?

西村:個人差はありますが、たとえば、小学校2年生で習う角度。大きい角度の小さい三角の図と、小さい角度の大きい三角の図を比べて、どちらの角度が大きいかと聞くと、大きい三角を選ぶ子がだいぶいます。

まだ、角度という概念や感覚が育っていないのです。そうなると、いくら図を見せて説明しても、なかなか理解できません。日常の生活の中で、角度とはこういうものだということを体験させるようにしてあげてほしいと思います。

ランドセルナビ:机の上の勉強である必要はないわけですね。

西村:はい。なにしろ、最初は角度だけじゃなくて、長さと面積の違いがわからない子もいっぱいいますからね。角度や長さ、面積などの感覚は、机の上で問題集やドリルを解くよりも、生活の中で身につけたほうが深い理解につながります。

2021/10/1


第5回:小学校1年生からの塾選びについて

●子どもが楽しめる塾を選ぶこと

ランドセルナビ:1年生から塾へ通わせるとしたら、どんな観点で選ぶべきでしょうか?

西村:行ってみて楽しい塾であること。それだけです。その観点からみると、四谷大塚の「リトルスクール」はいいだろうなと思います。

ただ、塾でやったことがいつ効果としてあらわれるかはまったくわかりません。そこは覚悟しておいてください。楽しげにやっているのだったら、そこで考えたことは、いずれ生きてくる可能性が高い。いやいややっていると、いつまでたっても効果が出ない可能性が高いと思います。

ランドセルナビ:ママ友の情報に流されてしまうお母さんも多いと思うのですが、そんなお母さんに何か伝えておきたいことはありませんか?

西村:お母さんが心配なら塾に行かせてもいいのですが、毎回のテストの点数で一喜一憂しないでほしいですね。それだけは言っておきたいです。

塾に入れて、受験を目指す周囲の子と同じ環境にわが子を置いているというのは、お母さんにとって安心なことでしょう。そのためだけに子どもを塾に行かせてもいいと思うのです。ただそこで、偏差値や順位などを見せて、もっと頑張らなくちゃいけないよ、などと言うようになると、弊害が大きくなってしまうのです。 成長過程のこの時期は、頑張る時期ではなくて楽しむ時期です。それを認識しておいてほしいですね。

ランドセルナビ:小学校の勉強についていけないのではないかと心配になったとき、補習塾などに入れるのはどうなのでしょう。

西村:それはありだと思います。小学校の勉強についていけないとき、その原因が、学校で教える先生の問題なのか、発達段階の問題なのかわからないことがあります。補習塾に入れるというのは、違う先生に教えてもらうことでもあるのです。

ランドセルナビ:塾を選ぶときに必ずチェックすべき点はありますか?

西村:小1から小3ということであれば、まだ体力がありません。そうなると通塾に時間がかからないこと。これがいちばん大切です。

それ以外でチェックすべきなのは、通わせると成績・順位競争にまきこまれそうなところかどうか。そういうところには、まだは行かせるべきではありません。親子で余裕がなくなりますからね。お母さんの気持ちに余裕がもてるところを選ぶようじしてください。

ランドセルナビ:やはり、事前に塾を訪ねて話を聞いておくほうがよさそうですね。

西村:塾と子どもとの相性もありますから、まず塾を訪ねて先生と話をしてみる。これは絶対に必要だと思います。

●小3までは能力開発系から選ぶ

ランドセルナビ:塾選びで、多くの親御さんが誤解していることもあると思うのですが。

西村:勉強は、先取りすればするほど得だと考えているお父さん、お母さんが多いですね。これは、大きな間違いです。

ランドセルナビ:そんなに多いですか。

西村:本当に多い。先取りというのは、どちらかというと半歩先がいちばんいいんですよ。ところが、半歩先がどのくらいなのかは、なかなかわかりません。

ランドセルナビ:たしかに難しそうですね。

西村:あと、たくさん勉強させればいいという勘違いも多いと感じています。やはり、勉強の量にも適量というものがあります。それは、時期によっても違うし、子どもによっても違います。これも判断するのがなかなか難しいのです。

ランドセルナビ:中学受験を念頭においた場合、塾選びの秘訣はありますか?

西村:仮に中学受験を目指している小学1年生であれば、能力開発系がいちばんです。そこで楽しげにやってくれるかどうかだけで選べばいいと思います。

そして、小3の段階で小4以降をどうするか、もういちど考え直す。そのことを小1のときから予定しておくのです。小3までの塾と小4からの塾が違っていても、まったく問題はありませんから。

ランドセルナビ:最初からサピックスに行かせる必要はないということですね。

西村:そうです。ただ、サピックスは早くから入れておかないと席がなくなるというようなことも言われていますから、不安になるお母さんも多いのではないかと思います。

ランドセルナビ:サピックスへ行くメリットはそんなに大きいのでしょうか。

西村:御三家狙いの子にはメリットがあると思います。御三家狙いでない子にとってはデメリットのほうが大きいですね。

ランドセルナビ:御三家狙いができる子かどうか、先生のようなプロならば、小学校3年生の段階でわかるのでしょうか。

西村:教えてみるとだいたいわかりますね。自分でちゃんと考えている子かどうか、しかもある程度のスピードをもって考えられているかどうかで判断しています。

ランドセルナビ:親御さんでは判断はつきませんか?

西村:私たちがわかるのは、過去に大勢のお子さんに教えてきて、比較対象を持っているからなんです。親御さんはわが子しか見ていませんから、まず判断がつかないと思います。そのため、多くの人はテストの点数を頼りにしてしまうのですが、小3までのテストの点はほとんど役に立ちません。

●成績が伸びたら子どものおかげ、下がったら親の責任

ランドセルナビ:塾の下見や体験授業に行ったときに、聞いたほうがいいことはありますか?

西村:ひとつの方法としては、まじめに相談をもちかけてみる。「集中力がないと思った時には、どういうふうに対応されているんでしょうか」とか、「成績が悪くなったときの対処法は? 相談してアドバイスをいただけるのですか」といったようなことですね。その返答が、営業トークなのか、本心で言っているのかを、表情や目を見て感じ取ってほしいのです。

ランドセルナビ:自分の感覚で判断するのですか?

西村:はい。一般の親御さんには塾の内情などはわかりませんから、感覚で選ぶしかありません。自分の感覚を信じてください。

ランドセルナビ:塾の宣伝コピーなどで注意したほうがいいことはありますか?

西村:いま、塾のプロモーションは、ほとんど実績だけになっています。合格者の実績だけ。それ以外の宣伝には効果がないことがはっきりしているので、ほとんどしていないと思います。

その実績も法的な縛りがあって、特に大手塾の場合は、少なくとも3か月以下しか通っていない生徒は合格者の中に入れないという決まりを守っています。だから、その点では嘘はないと思っていいでしょう。

ランドセルナビ:中小塾はどうですか?

西村:中小塾には法的な縛りがないので、実績に嘘が入っていることもありますね。中小塾の場合は実績ではなく、塾長さんがどんな人かをみるといいでしょう。中小塾は塾長さんの影響力がものすごく大きいですから。見学に行ったら、塾長さんとの面談を必ず希望してください。

ランドセルナビ:親と塾長さんがタッグを組んで、子どもを指導していけそうかどうかをみるわけですね。

西村:それができれば理想的ですが、実は統率力だけでやっていこうとしている中小塾もあります。ちょっと怖がらせれば、子どもはいうことをきくと公言する人もいますから、そこは警戒したほうがいいでしょう。

ランドセルナビ:なんだか、塾に行かせてうまくいかなかったとしたら、親のせいとも言えそうですね。

西村:その通りです。子どもを塾に通わせるとしたら、「成績がのびたら子どものおかげ、成績が下がったら親の責任」という覚悟をぜひ持っていただきたい。ところが、実際は、逆の場合が多いのです。

わが子が身近すぎて、どうしても感情が先走ってしまうのでしょう。その気持ちはとてもよくわかります。だからこそ、「そういう覚悟のできる親になろう」という努力目標を持っていてほしいのです。

2021/10/8

◎第一弾:「小学校入学前のママ・パパへのアドバイス」はこちら


■西村則康先生プロフィール

40年以上、難関中学、高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師(名門指導会)。日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。
暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイス。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。
これまでに多くの子どもたちを、開成中、麻布中、武蔵中、桜蔭中、女子学院中、雙葉中、灘中、洛南高付属中、東大寺学園中などの最難関校に合格させてきた実績を持ち、テレビや教育雑誌などでも積極的に情報発信を行い、保護者の悩みに誠実に回答して熱い支持を集めている。
著書は写真左から、 「中学受験! 合格する子のお父さん、受からない子のお父さん」(ウェッジ)「子どもの学力を伸ばす親、ダメにする親」(KADOKAWA)ほか、「わが子が勉強するようになる方法-2500人以上の子どもを超有名中学に合格させた「伝説の家庭教師」が教える超実践的な38のルール-」(アスコム)、 「中学受験基本のキ! 第4版」(日経BP)、 「中学受験やってはいけない小3までの親の習慣」(青春出版社)など多数。 また、中学受験情報サイト「かしこい塾の使い方」は、20万人以上のママたちが参考にしている。