【親の心の準備5】学習机より、子どもコーナーを
机より専用空間を作ってあげよう
リビング学習が広がって、小学校入学前に学習机を買う家庭は少なくなりました。まだ学習机は必要ないと考える家庭も増えていますし、実際のところ、低学年の子どもたちはほとんどがダイニングテーブルで宿題や復習をしています。
とはいえ、小学生になると子どもの持ち物は、どんどん増えていきます。反対に使わなくなるものも出てきます。学習机などの家具類の購入を検討する前に、子どもの物をどのように整理するかを考えてください。
小学校入学は、自立の第一歩です。下着・洋服、本、おもちゃ、ゲーム類などが、親のものも子どものものも一緒にしまってあるようだと、子どもが自分で出し入れしにくくなります。子どものものは、子どもにとって取り出しやすくしまいやすい収納やコーナーにまとめてあげましょう。
ケース1:Aさんの場合 夫婦と小2の男の子の3人家族のAさん宅は約50㎡の1LDK。子ども部屋を作る余裕はないので、リビングの角に1畳ほどのラグを敷き、子ども空間にしました。小さな本棚とおもちゃ入れをセット。子どもの衣類は親と同じクローゼットの入れていますが、子どもの下着と衣類はかわいいシールをはった引き出しにまとめました。おかげで、それまで何をするにもママを頼っていた息子さんが、下着の出し入れやおもちゃの片付けなど、自分でするようになったと言います。「自分専用の空間や家具を用意すると、自分で片付けようって気になるみたいです」とAさん。
ケース2:Bさんの場合 長女の小学校入学を機に、夫婦の寝室にあった姉妹用の二段ベッドを2つに分け、ひとつをリビングの端に移動させたBさん。リビングが20畳と広めだったのもあって、そのうちの3畳ほどを長女の空間にしてあげました。夜はゆっくりやすめるように、天井にカーテンレールをつけてカーテンで仕切ってあげました。学習机はありませんが、本好きの長女のためにしっかりした本棚も設置。ランドセルと上着をかけるラックと衣類用の小さなチェストも用意したので、娘さんは大満足のようす。なんでも自分でやることを存分に楽しんでいるようです。

AさんもBさんも、学習机は買わずに、宿題などの勉強はダイニングテーブルでやるのが習慣になっています。キッチンで作業しながら子どものようすが見られることは、親にとっても子どもにとっても安心感があるようです。
そんなおふたりが共通して話してくれたのは、今はもう遊ばなくなったおもちゃの整理。思い出があるからとっておきたいけれど、結局はしまいっぱなし。親が思い出として最低限残しておきたいものだけを親の収納箱に入れておくのが賢明とのことでした。
子は片づけを学び、親は任せることを学ぶ
自分で片づける、自分で明日必要なものを準備する、自分のモノを取り出しやすくしまいやすいように整理するなどの生活習慣は、自立の第一歩の中でもとても大切なポイントです。
実際この年齢の子どもは、「自分でできた」ことをとてもうれしく思うものです。親の手間は増えるかもしれませんが、子どもの「自分でできた喜び」のほうを優先して、AさんBさんのように、子ども専用コーナーを作ってあげてはいかがでしょうか。すでに子ども空間・子ども部屋があるご家庭も、“自立”を念頭に、子ども空間がこれでいいのか検討してみてください。
子どもコーナーをどこに作るか、仕切るか仕切らないか、どんな雰囲気にするかは、子どもの性格、家庭の事情、住まいの広さなどによって違ってくるはずです。大事なのは、子どもの自立のためによりよい環境を作ってあげることであって、お金をかけることでも、広いスペースを用意することでもありません。
そして子どもコーナーの整理整頓は、原則的に子どもに任せると宣言しましょう。どんなに散らかっていても、子どもが知らない間に親が片づけることはやめます。少し散らかっているだけでガミガミ言うのもやめます。ある程度はガマンして、それでもダメなときには、“一緒に片づけよう”といった感じで親のやり方を見せるようにしましょう。
「自分のモノは自分で整理したほうが、出し入れが快適よ」などと、きちんと子どもに話すのもいいのではないかと思います。子どもコーナーを作る意味や目的を話して、小学生としての自覚を促すとともに、家族の一員としての責任を感じてもらう、こんなふうに親子関係を発展させていってはいかがでしょうか?
子どもコーナーをどう作るかを親子で話し合うことそのものが、子どもにとっては自立への道になります。そして同時に、親にとっては子離れへの心の準備になるでしょう。机やラック、ベッドなどの家具を買うのは、子どもコーナーの空間プランが決まってからでいいのでは?
2025/09/30